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九州のオバちゃん直伝!『ゆず胡椒』の作り方(その3)

>(その2)はこちら<

 

「胡椒をアマくみてはイカンばい(くどいようですが、胡椒=唐辛子のことです。九州の方言みたいですが、若い人はあまり使いません)」という、その言葉通り、

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刻み&摺りおろしの青唐辛子+食塩のパンチ力!鼻の中が痛くなるぐらい辛いです。市販の柚子胡椒なんて、コレと比べりゃ水飴みたいなもんだよ…

ひとまず、教わった通りにコレを冷蔵庫で寝かせてみます。本当は2ヶ月ぐらいかかるそうですが、今年は仕方ない。タッパに入れて、4~5日間だけ冷蔵庫内に放置してみることにします。

なるほど、大きいめの柚子を使うべき!

「中はどうなってるんだろうか?ちゃんと出来ているんだろうか?」と心配などしながら、でも、むやみに開け閉めしたりしたら腐りやすくなっちゃうんじゃない?などとハラハラもしながらの5日後。

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鮮やかなグリーンだったのが、少し落ち着いたような?深緑色になっています。植物を切ったときに広がる青臭い香りもほとんどしなくなっているし。

辛いだろうとは思いつつも、味見をしてみる…おおお!ウソみたいにマイルドになっている!!もちろん、辛さは相変らず強烈なのですが、つい5日前と比べると完全に別物。まろやか~な辛味に変身してます。“寝かせる”って大事!!

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ここで、ダブル主演のもう一方、柚子の登場。よーく水洗いして、

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よく水分を拭き取り、そしてしばらく放置して乾かす…前にも書いたように、柚子胡椒は保存食品。余分な水分はカビや傷みの元凶です。

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表面の水分が飛んだら、オレンジ色の皮の部分だけを薄~く剥いていく。果実と表皮の間にある、白いホワホワのところは出来るかぎり避けて。

ちなみに、柑橘類の皮の白い部分の正式な名称は『アルベド』というそうですよ。知りませんでした…もひとつちなみに、表面のオレンジ色の部分は『フラベド』というそうです。料理に使うときは『ゼスト』って呼んだりもしますが…

というような話は置いておいて。

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(その1)で紹介したように「大きいサイズの柚子を使え」と言われたのですが、その意味がよーく分かりました。小さな柚子の皮をチマチマ剥いていくなんてメンドくさい、というか無理!

今回は包丁を使いましたが、おろし金を使ってもいいでしょうし、レモンピーラーとかゼスターなども便利かと。要は“皮のオレンジ色の部分だけ剥ぎ取れ”ればOKみたいです。

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で、分量ですが…オバちゃん、塩加減と同様に「覚えとらん。いちいち計算せん。」という…まあ、40年間もルーティンでやっている作業ですし、仕方ない。いろいろと話を聞かせてもらって推測、そしてこの柚子を購入した八百屋さんの意見も参考にして、今回は青唐辛子80グラムに対し柚子の皮は、写真の通り「大き目の柚子1コ分から取れる量」にしてみました。

切り取った皮をまたまたすり鉢でゴリゴリ。右手でシャッター切ったので、なんだかヘンな写真ですが。すり鉢、やっぱりシンドいですね。慣れないから尚更です。でもイイ香り!

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なんだかんだで30分ぐらいゴリゴリしてこんな感じ。後はコレを、5日間だけ寝かせた青唐辛子に混ぜるだけ!

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コレをかき混ぜたら完成ですよ!!…の、その前に。

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残された、柚子の実のほうですが。

レシピサイトなどには『作った柚子胡椒に、果汁を絞って混ぜてもOK!』なんて書かれているのもあるので、オバちゃんに尋ねてみると「いかんね。すぐに腐れるばい」と、冷淡に一言。「てめぇ何度も言わせるなよ、柚子胡椒は保存食だろが!不必要な水分は混ぜんな」とでも言いたげな雰囲気…すっ、スミマセン!!

自家製柚子胡椒・まとめ

長々と、自家製の柚子胡椒について書いてきましたが。最後にまとめを。

「○○のサイトに書かれてる作り方と全然違う!」とか、「ウチはそんなヤリ方しない!!」等々、異論もありましょうが。これはあくまでも、福岡で40年間、手作りの柚子胡椒を作り続けてきたオバちゃんのオリジナルなレシピです。「ああ、本場ではそういうやり方もするんだね」などと、参考にしていただければ幸いです。

 

8~9月ごろに準備するもの

青唐辛子

夏頃に出回り始める新物を。皮が柔らかいので舌触りがよい柚子胡椒が作れるそうです。地域差があると思いますが、福岡では毎年お盆頃に出回るそうですよ。

今回は荒塩を使いましたが、普通の食塩でも大丈夫みたいです。青唐辛子の総量の25%ぐらいの塩加減が良いかと。

フードプロセッサー、またはすり鉢とすりこぎ

本文でも触れましたが、圧倒的にフープロ推奨!とくに1キロぐらい仕込むのであれば尚更です。すり鉢、かなりシンドイです!

メガネ・マスク・ビニールの手袋

唐辛子をナメてはいけません!すり潰す際に、ドラクエでいうところの“やけつく息”みたいなものを撒き散らします。肌の弱い方は長袖の服も。

あとはハサミや包丁、すり潰した青唐辛子を入れることが出来るタッパ(フタが閉まるもの)、ふきんやペーパータオルなども用意しておきましょう。

 

唐辛子を仕込んでから1~2ヵ月後(9~10月ごろ)に用意するもの

柚子

まだ未成熟の青い柚子でも構わないそうですが、黄色く成熟したものを使うと香りがよくなるそう。また、できるだけ大きな実を使ったほうが作業しやすいと思います。

使用する量は“お好み”で。目安としては唐辛子100グラムに対して大きな柚子1個分の表皮ぐらい。多少多めにしたほうが良い香りがしますが、あまり入れすぎると水分が増えすぎて日持ちしなくなるかも?

包丁やピーラーなど皮が剥けるもの、またはおろし金

要は表面の皮を薄く剥けるものを。

フードプロセッサー、またはすり鉢とすりこぎ

唐辛子をすり潰した際と同じです。

 

では、作り方の手順もサラッとおさらい。そうそう、使用する道具はすべて熱湯で消毒・殺菌しておいたほうがよいと思います。保存食品を作るときの基本ですので敢えて触れませんでしたが、いちおう念のために。

唐辛子を洗い、水分をよく拭き取る

(その1)で書いたように、風通しのよいところで少し乾かすのがベストかと。防カビ・防腐のために、できるだけ水分は持ち込まないほうがよいと思います。

メガネ・マスク・手袋をはめる

これ、もしかしたら全工程の中で一番重要かもしれません。直接触れなくても粘膜やられます。マスクしてても鼻がムズムズしたりしますので、必ず着用したほうがよいと思います。肌の弱い方は長袖も。

塩を加えながら、唐辛子を“そのまま”すり潰す

ここが他のレシピサイト等と一番違う点かも?ヘタも茎もタネも一緒に、丸ごとすり潰すそうです。理由は「めんどくさいから」だそうなので、気になる方は取り去ってからでもOKかと。ただ、新物の唐辛子ならタネも茎も柔らかいので、たぶんそんなに舌に残らないと思います。

タッパなどフタがきちんと閉まる容器に移し、冷蔵庫の中で1~2ヶ月保存

すぐに柚子の皮を混ぜるだけで、とりあえず柚子胡椒は完成します。でもこの“寝かせる”という行程を挟むだけで、ぜんぜん違う味に変身します。今回は5日間だけでしたが、深みのある、まろやかな辛さになりました。

黄色く熟した、大き目の柚子の皮を薄く剥いで、フードプロセッサーまたはすり鉢等で細かくし、寝かせた唐辛子に混ぜる

“黄色い柚子を使う”というのもポイントかも。青いものよりも香りがよいそうです。白い部分はできるだけ入らないように。今回は青唐辛子80グラムに対して柚子1個分の皮を使いましたが、もう少し多めでも良かったかも?この配分はお好みでどうぞ。

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悪戦苦闘しながら、ひとまず完成した自家製柚子胡椒の初号機。

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もうちょっと、時間をかけてていねいに摺りまくればよかった…粗いですね、青唐辛子。見た感じはイマイチです、我ながら。

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既製品と比べてみる。ぜんぜんダメばい。

見た目は完敗していますが。これだけは言っておきたい…味と香りは決して負けてない!こんなデタラメに作ったというのに、この風味の素晴らしいこと!!

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今回、柚子胡椒の作り方を細かく教えてくださったオバちゃんの店へ行き、いろいろ顛末をお話させてもらう…すると、「じゃあ、来年は1キロぐらい作ってみんね?」と。

料理と同じく、いっぺんに大量に作ったほうが、塩加減や柚子皮の量など微調整が効かせやすいし、結果、美味しいモノに仕上がるのだそうな…なるほど!!

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オバちゃん、今年も3キロほど仕込んだそう。で、こちらがその柚子胡椒。たしかに辛く、そしてウマい!私の自作のものなど足元にも及ばぬ完成度よ!!

しかしなぁ、一度に1キロも作っても、独り暮らしの身には多すぎるよ…と思っていたら、柚子胡椒って冷凍保存できるそうですよ。オバちゃんもそうしてるみたい。小さいタッパなどに小分けして冷凍しておくと便利だそうな。なので、大量に作ってもOKです!!

 

…そうそう。『柚子胡椒』って、一般的に、というか全国的には「ユズコショウ」と読みますよね、濁点は入りません。私が普段愛用している、大分県のメーカー富士甚醤油さんが出している既製品にもそう書いてあります…

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ですが、九州というか、もしかしたら福岡だけかも知れませんが、コチラでは「ユズゴショウ」と呼ぶ人がかなり多いです。特にある程度年配の人たちは、圧倒的に皆さんそう呼びます。

全国の柚子胡椒フェチの皆さま、今年の冬はちょっとだけツウっぽく「ユズゴショウ」と、さりげなく濁りを入れて発音してみてはいかが?と、ちょっとだけオマケ、まあまあ蛇足。

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